IP×リカーリングで持続的成長を目指す(辰野 博一 ショートエッセイ)
5月14日に発表されたソニーグループの2024年3月期連結決算は、純利益が前年同期比3%減の9705億円となりました。売上高は19%増の13兆207億円に達しましたが、営業利益は7%減の1兆2088億円でした。半導体事業は、新技術を使った製品の量産ラインの立ち上げに苦戦し、営業利益が9%減の1935億円となりました。ゲーム事業では「プレイステーション5」の販売台数が増加したものの、為替影響を除くと微増益に留まっています。今期の販売台数は減少に転じる見込みで、販売のピークを越えたとみられています。そうした中で、プレイステーションの次の柱を作るべく、今後3年間でM&Aなど成長投資を1兆8000億円実施する計画を掲げています。
リカーリングモデルで成長
ソニーの時価総額(各決算期末での比較)は、もっとも落ち込んでいた2013年3月末の1.66兆円に対し、2024年3月末には15.86兆円に達しており、11年間で10倍近く成長しています。この成長の原動力の1つとなっているのが、「リカーリングモデル」事業の強化です。リカーリングモデルとは、1人の顧客から継続的に収益を稼ぐビジネスモデルのことを指します。かつての家電製品のような、商品を売って終わり、といういわゆる「売り切り」(物販モデル)と対称的に位置付けられるモデルと言えます。ゲーム事業では、オンラインゲームの提供にサブスクリプションサービスを採用しています。音楽事業においては、IP(知的財産)の獲得をキーとして、リカーリングモデルを成立させてきました。英音楽大手EMIミュージックパブリッシングの買収や、故マイケル・ジャクソンの楽曲著作権の取得しています。ソニーは自社でも音楽配信サービスを有していますが、音楽配信サービス市場の成長自体が収益拡大に繋がります。
「名作」のIP保有を目指す
今回の成長投資では、映画事業のIP強化を目論んでいます。アポロ・グローバル・マネジメントと組み、米メディア大手パラマウント・グローバルへの買収案を提示しました。映画も、米ネットフリックスなどの動画配信サービスで視聴する人が増えているため、「名作」のIPを保有することが収益基盤の強化に繋がります。しかも、映画の中で自社がIPを保有する楽曲されている場合には、動画視聴によって楽曲の著作権収入も得られることになり、エンタメ領域でのIP保有には部門間でのシナジー効果が期待できます。目論見通りの成長を描けるのか、まずは買収の動向が注目されます。
(参考URL)
日本経済新聞電子版2024年5月14日付「ソニーG、「PSの次」探る名作買収 成長投資1.8兆円」詳しく見る→

辰野博一「『経営をデザインする力』を鍛えるブログ」2020年5月23日付
「ソニー復活の原動力『リカーリングモデル』とは」詳しく見る→
Facebook
Twitter
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、株式会社かたちなきものからのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは info@value-labo.com よりinfo@value-labo.com 宛に送信しております。
高輪3-5-6, 港区, 東京都 108-0074, Japan


全てのメーリングリストから配信を停止する。 配信停止 | 登録情報更新